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hollyの音楽室

Robert Johnson「Crossroad Blues」1961

80年代の高校生ギタリストの中で、Cream の「Crossroads」を全部弾けるヤツは一目おかれたものです。(もちろんベーシストにとってもこの曲は永遠の課題ですが、あんなベースが弾けるヤツは高校にはいなかった)

クリームの「Crossroads」の原曲が、1930年代に活躍したデルタ・ブルースのギタリスト、ロバート・ジョンソンの「Crossroad Blues」です。

この曲については1961年と表記してよいものかどうか悩みます。レコーディングされたのは1936年、しかし『King of the Delta Blues Singers』というタイトルでレコードとして初めてリリースされたのはロバート・ジョンソンの死から20年以上たった1961年なのです。当Blogではリリース年で表記することにします。

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エリック・クラプトンがロバート・ジョンソンに深く傾倒しているのは有名で、あのクラプトンをして「彼のような音楽はとても自分にはやれない」と言わしめています。

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あのレコードをはじめて見つけたときは、ロバート・ジョンソンなんて名前も聞いたことがなかったと思う。

15才か16才のときだったんだけど、こんなパワフルなものがあるってことがショックだった。
レコードをかけたら、実際に体がふるえたよ。

ロバート・ジョンソンは、オレには、いちばん重要なブルース・ミュージシャンだ。ジョンソンは自分のヴィジョンに間違いなく正直であり、オレは30年間にわたってその音楽に深く入り込んできたわけだけど ロバート・ジョンソンほど奥深く、ソウルフルなものに出くわしたことがない。ジョンソンの音楽は、人間の声が発したものとしては、最高にパワフルな叫びだね。

by Eric Clapton

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ロバート・ジョンソンは1911年ミシシッピー州南部のヘーゼルハースト生まれ。子供の頃からいろいろあって南部を渡り歩き、最終的にはメンフィスに落ちつきます。ブルース・ギタリストのエディ・サン・ハウスに憧れて、くっついて回りますが、当時はギターの腕前はもうひとつでした。「ヤツはほんの小僧っ子だった。ハーモニカを吹かせりゃけっこう上手かったけど、ギターはまだまだ。」(サン・ハウス談)

彼はギター修行のために故郷のヘーゼルハーストに戻り、平日はギターの猛練習、週末になると昼は裁判所の階段で、夜は酒場で演奏し、地元のブルースマンと共演する日々を送ります。
半年ほどしてギターの腕前があがり、ヘーゼルハースト周辺で有名になり、十分に自信がついたところでロバートはロビンソンビルに戻るのです。

ロビンソンビルで再会したサン・ハウスや昔の彼を知る人々は急激に上達したロバートのギター・テクニックに驚きます。その上達ぶりは衝撃的で「国道49号と61号の交差点で悪魔に魂を売り、それと引き換えにギター・テクニックを授かった」という有名な伝説が生まれたのです。

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いまではすっかり観光名所です

南部で人気が出た彼は、1936年と1937年にレコーディングを行い(現在残っている音源はその2回のレコーディング時の41曲だけ)その人気はアメリカ中部、東部まで広がります。シカゴ、デトロイト、オンタリオ(カナダ)にまで活動の幅を広げていくのですが、1938年にロバート・ジョンソンは毒殺されてしまいます。

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ミシシッピー中部のグリーンウッドでロバートはある人妻と出会います。その人妻は毎週月曜になると「妹に会う」とウソをついてグリーンウッドに出て来てはロバートと密会するようになります。

7月のある土曜日、グリーンウッド近郊のキトーという小さな町の酒場でのライブで休憩時に蓋のあいたウィスキーが出されます。共演していたソニー・ボーイが「蓋の開いたウィスキーを飲んでは危ない」と警告するものの、ロバートは「オレの飲むものに口を出すな」と怒りだしそれを飲みます。再びステージに戻り、ライブを再開したものの途中でロバートは苦しみだし、病院に運ばれます。
結局、そのウィスキーにはロバートが密会していた人妻の夫がストラスキーネという毒を盛っていたのです。数週間持ちこたえるものの1938年8月16日に死去。死因は毒殺、享年27歳。



【十字路の伝説】

9日間、毎朝墓地へ行き塵を小壜に入れて十字路に行き、そこでギターを弾き続けると9日目の朝に悪魔がやって来てギターを取り上げ、チューニングして一曲弾いてから返してくれる。そうすると悪魔との契約が成立し、悪魔に魂を売る代わりに、何でも自由自在に弾けるギターの腕前を手に入れることができる。

この伝説はギターに限らず、イタリアのヴァイオリニスト、ニコロ・パガニーニも十字路で悪魔と契約してヴァイオリンの超絶技巧を手に入れたと信じられていた。(パガニーニは死後、教会での埋葬を拒否されて、遺体は各地を転々としなければならなかった)

さてこの「Crossroad Blues」はそんな伝説を歌った曲・・・ではなく「ヒッチハイクをしようと朝から晩まで道端に立っているのに車は全然止まってくれない」と嘆く、いかにも放浪のブルースマンであったロバート・ジョンソンらしい内容の歌詞です。



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テーマ:ロック - ジャンル:音楽

  1. 2010/06/08(火) 23:36:29|
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